さよなら、しあわせホテル…、こんにちは、しあわせホテル!

しあわせホテルVer 2.0

4年越しで関わってきました、岡山牛窓の海沿いにある病院を再生して「しあわせホテルをつくろう!」というプロジェクトにつきまして、以前にこのブログでもご紹介させていただきました。

去年末にようやく事業コンペの開催が決定し、いよいよ動き出すかと思われたのですが、プロジェクトの環境がだいぶ変化してしまっていたこともあり、また我々の力不足のところもあり、結局コンペへのエントリーを断念することになりました。大変残念なことです。

これまで様々な形で応援をいただきました皆様にも、この場をお借りして改めてお詫びをもうしあげさせてください。力及ばずで、申し訳ございませんでした。

さよなら、しあわせホテル…(涙)

 

でも、この残念な結果を踏まえて冷静にもう一度考えた末に、私たちはとても大切なことに気が付いたんです。

「あの素敵な病院の建物が無くても、しあわせホテルってできるんじゃないの?」って。

 

そうです。この4年間を通じて、我々はいろいろな大切なものや大切な人とすでに出会っていました。牛窓の穏やかで美しい内海も、静かで凛とした街並みも、まるで自分のおばあちゃんの家くらいよく知ってます。そして、何よりもしあわせホテルを応援してくれる、牛窓のいい仲間たちが大勢います。さらに、東京をはじめ日本の各所に牛窓に行ってみたい/牛窓につれていきたい、という仲間ももうすでにたくさんいるんですね。

 

みんなと一緒になれば、「しあわせホテル」はもういつでもスタートできるんじゃないか?

私たちはもう一度、新しい「しあわせホテル」の姿をイメージすることができたのです。

こうして、今年、気持ちも新たに「しあわせホテルVer2.0」はスタートしました!

こんにちは、しあわせホテル!!(笑)

 

しあわせホテル2.0は、「日本中の【豊かなまち資源】をもつ地方のまち」を舞台に、「人と人が出会う」きっかけをつくっていくことを通じて、自分本来の姿にもう一度気が付いてみたり、これまで知らなかった新しい価値観に出会えたりする、そんな機会を継続的に提供する場をつくっていくプロジェクトです。まち全体がホテルになり、住人も訪問者も同じ目線で話ができる、同じ立場で何かに挑戦するような場をこれからどんどん日本中に作っていこうと思ってます。

 

こんな私たちの夢をお話したところ、すでに日本各地に想いを共感してくれる人やまちからお声がけをいただき始めています。共にしあわせホテルをつくっていけそうな「(仮称)なかまのまち」に、すでに全国10カ所から手を挙げていただきました。大変ありがたいことです。そして、これからも「なかまのまち」は着実に増えていきそうな感じです。

 

※しあわせホテル 全国の「なかまのまち」(2019年2月末現在)

 

今年私たちは、すべての「なかまのまち」を訪問し、そのまちの【豊かなまち資源】を一つずつ発見・確認しながら、その場にあった新しい出会いのプログラムを考え、つくりあげていく年にしていきたいと思っています。【豊かなまち資源】とは、その地の人々や、土地の風土、そして歴史など、しあわせホテルが活動の軸としている【しあわせの好循環】(後述参照)を発生を支えてくれる複数の要素や条件を総称しています。

もし、「なかまのまち」への訪問にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご一緒に参加してみてください。現在、毎月1回のペースで、それぞれの「なかまのまち」を訪れていまして、毎回素敵な出会いをいただいてます!

 

 

※「なかまのまち」訪問 / 熊本 阿蘇/小国(黒川温泉) 2019年2月

 

 

そしてこれから少しずつではありますが、私たちが見つけてきた、それぞれのまちの「宝物」を、しあわせホテルのプロジェクトとして順に皆さんにお伝えしていきたいと考えています。ご興味のある場所や仲間がいれば、ぜひその地のしあわせホテルを訪れてみてください。きっと、楽しい出会いや発見がたくさんあると思いますよ。

 

最後に、しあわせホテルの名前にもなっている「しあわせ」についてです。

※しあわせの好循環(Green Tao)のイメージ

 

 

私たちは、自分たちの実体験を通じて、このしあわせホテルプロジェクトに参加することで「幸福度が上がる可能性が高い」と確信してます。自らを被験者として、私たちはプロジェクトの参加前と後に「幸福度測定」を行っています。(一般社団法人ウェルビーイングデザインが進める「ウェルビーイング・サークル」などを利用しております。)

総じて言えることは、これまでのところ、ほぼすべての被験者において、幸福度を構成する因子に改善の傾向がみられるということです。

このプロジェクトの行程には以下のような6つの要素が含まれていることが、参加者の幸福度の向上に寄与しているのではないかと、私たちは(現在のところ)分析しています。

 

1.慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)の前野先生が提唱されている「幸福の4因子」を実感できる多様な価値観があり、それを実践できる場がプログラムの中に包含されています。

2.プログラムの中で行われる「対話メソッド」による人間関係(自分自身との関係を含む)の(再)構築が、「幸福の4因子」実践する土壌の形成に大きく寄与していると思われます。

3.プログラムの前後で「幸福度測定」を行うことで、客観的な指標に基づいた自己分析ができる状態が用意されています。「しあわせ」は主観に基づくところが大きいですが、その主観を数多く集積すること見えてくる客観的な「しあわせ」の指標を用いて、自らの状況や現在の立ち位置を見つけることができると考えています。

4.普段の生活とは違う非日常の場=「オフサイト」から得られる「(滞在する)場の力」は、参加者の感性に大きな影響を与えています。古民家の宿に泊まったり、たき火を囲んで皆で話をしたり、地のおいしいものを食べたり、訪問先の一つ一つの非日常の状況が、参加者の感性を刺激し、発想を飛躍させる効果があると考えています。

5.まちの仲間との間に良い関係性がすでにできあがっている場に、参加者がすっと入っていける状況があります。参加者が「一人の友達」として輪に入ることで、参加者と街の人との間に「主客同一」の関係性がつくられています。その場に居ることで、人は大きな「安心感」を持つことができ、この「安心感」こそが、人が「しあわせ」を見つけ出すための大きな土台となると考えています。

6.そして何よりも、その土地の持つ自然や歴史などの風土が訪問者に与えてくれる有形・無形の「地の恵み」が参加者の五感に訴える包含的影響がプロジェクトで行われるすべての活動の基盤となっています。

 

 

 

※しあわせホテル 「しあわせ」を考える環境を支えるプロジェクトの6つの要素(仮説)

 

この明確なメカニズムを解明するには、まだ少し時間がかかりそうですが、実践と実績を重ねてこのプロジェクトが参加者(のみならず、同時にまちの人たちにも影響を与えています!)にもたらしている「しあわせの好循環」を作り出すのメカニズムの解明と更なる改善を行っていきたいと思っています。

 

鎌倉生活総合研究所 / しあわせホテル株式会社

鈴木雅晴