阪神間モダニズムと鎌倉・逗子・葉山

「阪神間モダニズム」をご存知でしょうか?
 明治時代末期から戦争が始まるまでの期間、阪神間エリア(神戸・芦屋・西宮・宝塚等)で花開いた郊外都市文化です。その対象は建築や教育、芸術、スポーツ、娯楽にまで広範囲に渡っているので単に「文化」というよりは「生活文化」といった方がいいかもしれません。御影や芦屋、夙川などに行けばその風韻を現在においても脈々と感じ取れることができます。
 私は神戸出身なので「「阪神間モダニズム」を郊外都市の理想的な形の一つとしています。ですから私は上京してから首都圏で阪神間に相当する郊外はどこだろうかと常に探し続けてきました。
 吉祥寺、二子玉川、国立、成城、多摩・・・、それぞれに良さはあるのですが阪神間モダニズムを知っている私からすると都心に対抗できるほど特徴を持った文化や街並み、歴史が感じられないのです。東京はやはり都心が圧倒的に美しく楽しく豊かです。
 しかしこれは大都市の構造において不幸なことです。電車で30分も行けば都心とは違う自然や文化、街並みのある「郊外」があることで都市に暮らす人々の生活はもっと豊かになるのです。
 そういった中で数少ない都心に対抗できる「郊外」としての可能性を感じたのが鎌倉・逗子・葉山でした。ここは都心とは明らかに違う文化や自然、街並みがあります。
 ですから私は10年前に新宿から鎌倉に移住しました。
 これから人口減少や在宅勤務の進展、車の自動運転など都市における住まい方が大きく変わってくると思います。21世紀は超便利で最先端な都心の周りに自然豊かで独自の都市文化を持った郊外が点在していくことが求められるのではないかと私は考えています。
 鎌倉生活総合研究所ではそのような郊外を作ることを使命の一つだと考えています。

鎌倉生活総合研究所 代表理事 宇賀亮介