リノベーションを一歩引いて考えてみる

私や他のメンバーはリノベーションという言葉がまだ市場に浸透していないころ(2000年代前半)から不動産再生事業に取り組んでいました。

都内初の廃校再生や築40年を超える不動産の再生事業を行う法人等でそれぞれ活動をしていました。 いまではそのリノベーションが一般の方々にも浸透し、リフォームとも区別されるようになり始め、建て替えることへの有力かつ新たな選択肢のひとつとなっています。それはとても素晴らしいことです。私たちもリノベーションを市場に浸透させていかれた素晴らしい方々を見習いながら活動しています。

リノベーションは都市再生や個人の住まいに対するひとつの有益な手法として有効であると考えています。 一方で、リノベーションが諸問題を解決する万能な手法であるかといえば、そうでないことも当然あるでしょう。建物の改善内容等、質の問題は当然ながら、そこにかかる費用もそうです。商業利用に関していえばリノベーション後のビジネスモデルの持続性も気をつけるべき点です。担当者のホスピタリティのなさ、かかった金額の割にはデザインに納得がいかなかったこと、アフターサービスに問題があったなどリノベーションに期待をもったお客様の中には残念ながらがっかりした経験を持ってしまった方もいるのではないでしょうか。実際にリノベーションに多額の費用をかけたものの、引き渡し後に不具合が出ても対応がずさんだったという話や、それなりに費用をかけてリノベーションを施した商業施設が当初数ヶ月はうまくいったものの1年経つあたりから経営が厳しくなってしまい、、、といった話を聞くこともあり業界全体がそうでないにしても悲しくなります。

私たちはリノベーションを駆使して建築、不動産、しいては地域活性等の問題に取り組む一方、リノベーションから一歩引いて検証することも行なっています。そもそもリノベーションが必要なのか? リノベーションが本当にそこに関わるひとたちに持続的に幸せをもたらすものなのか? これらのことを深く考え続けることはとても大切です。

私たちも日々勉強しています。 まだ私たちも上記問題について当然理論化出来ているわけではありません。だからこそ生みの努力に苦しんでいるのですが、既にリノベーションに取り組まれている方々、興味のあるプロの方々、一般の方々とぜひ議論・討論させて頂きながら業界全体で発展していければと思っております。私たちはオープンな場を設けております。お気軽にお問い合わせ頂ければ嬉しく思います。

一般社団法人鎌倉生活総合研究所 佐藤良久