先人の思いと記憶を未来につなげること

私は1993年に上京しました。私の印象では六本木ヒルズが開業したあたりから東京都心は加速度的に姿を変えてきたように感じます。馴染みのあるカフェやレストラン、街角の風景が綺麗さっぱりと無くなって、そこには以前の痕跡が全く見いだせなくなるということがここ15年間継続的に発生しています。 人が都市で生きていく上で自分好みの街角や店に「愛着」を持つという行為は、「救い」や「癒やし」の源泉の一つだと思います。

現在、私たちは築300年の古民家の再生に携わっています。この古民家は昭和37年に依頼者の祖父が農村部から都市部に古民家研究の大学教授の指導の下、移築したものです。 またその方はこの古民家を一人で独占せずに歌人の集いなどの文化的な催しの会場に提供したい意志を当時お持ちでした。 川崎市立日本民家園の開園は昭和42年ですので、それに先駆けて文化的価値の高い家屋に対し私財を投じて移築再現して公開するということを行われたわけです。 私たちは土地や建物が引き継がれる時に先人の思いや記憶を大切にし、未来につなげていきたいと考えています。もちろんそれは容易なことではありませんし、一体どのような形で何をつなげるのか。 ただその点に関して一点言えるのは、もう少し丁寧に時間をかけて色々な人達の協力を得ながら読み解き考えていくことだと思います。 私たちはこの古民家の再生に対してこのような姿勢で今後も臨んでいきたいです。

鎌倉生活総合研究所代表理事 宇賀 亮介

 

 

 

 

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