相続登記の義務化は地域活性を促すのか?

2021年3月5日付、日本経済新聞の記事によると、政府は5日の閣議で、所有者不明土地問題を解決するため民法など関連法の改正案を決めたとのことでした。土地の相続や所有者の住所を変更した際の登記申請を義務化し、違反した場合は過料を科すとのことでした。

所有者不明土地は、不動産登記簿を見ても、現在誰が持っているのか分からない土地のことをいいます。国土交通省の2017年の調査によると、全国の土地の2割で所有者が分からない状況であるといいます。

今回の改正案では、面倒な手続きを簡単にできる制度も新設するようです。相続人のうち1人が単独で申請できるようにして負担を減らす工夫もあるようです。

加えて、複数の人が所有する土地や建物の一部で所有者が分からない場合も、改修や売却ができる制度もつくるとのこと。国としての本気の対応が伺えます。

弊所が本社を構える鎌倉市にも誰が見ても住んでおらず使われている形跡がない不動産があります。鎌倉に限らず、多くの都市の開発エリア内にあるにも関わらず取り残されている不動産を目にすることがあります。

これらの不動産は、相続による遺産分割協議がまとまらず取り残されている事例も多くありますが、相続登記の義務化によりこれらの不動産が活かせることになるのであればいままで滞っていた開発も少しずつ進むことになるでしょうか。

義務化に伴い登記にかかるコストの問題等、デメリットも生じますが、まずは私たちが生活する上でかかせない地域にさらなる活性が生まれるのであればこの改正案はポジティブに捉えたいと思っています。

※参照 日本経済新聞2021年3月5日